第一試合は圧倒的実力を披露し、レジェンド・国見選手との歴史に残る名勝負を制した七瀬ゆい選手、
そしてまさかのＷＵＷ“裏番長”佐々木選手を粉砕したＳＳＳ生え抜きの美少女アイドルレスラー河愛杏里選手との一戦となりました。
七瀬選手の持つポテンシャルは過去類をみないほどのもので、国見選手の実力が
逆に大きなカンフル剤となって覚醒を促したのではないかと思っています。
“格”という意味では最早女王クラスと言っても過言ではなく、国見選手は運が悪いとしか言い様がないと思いました。
完璧にスイングしたＡブロック第一試合は、本当に意味のある試合だったと感じます。
一方の河愛選手は、このＳＳＳＧＰまでの大きな流れで急激に成長した選手です。
受け専門と思いきや、攻めの“味”を自ら生み出し、そして結果を残す。
あの小さな身体のどこに強い闘志が潜んでいるのか、計り知れません。
実力的に言っても時代を代表する能力を持つ佐々木選手の心を折って改めて
ＳＳＳ最強を証明した河愛選手、本当に“痛み”が伝わる試合を演じたからこそ
アイドルレスラーといえど、準決勝へ駒を進める価値を十分に持っていると僕は思います。
試合内容についてですが、大きな両選手・僕も含めて大きな誤算があったような気がします。
全選手中、最もパワーに定評のある七瀬選手と最も小柄で非力を精神でカバーしてきた
河愛選手のマッチアップは「階級」そのものが違っており
完全に無茶な試合になったのではないかと思います。
ＳＳＳ生え抜きの二人。デビュー時期は少し河愛選手の方が先で、終始“先輩”の河愛選手を“後輩”の七瀬選手が攻め立てる構図。
痛みをこらえつつ、ボロボロになりながらも立ち上がる河愛選手の基本パターに持ち込むことすら出来ないほどの強烈な攻撃力。
階級が上の後輩に、階級が下の先輩がいいようにボコられていきます。
攻めに目覚めた河愛選手にとって、手も足も出ず、後輩に押し込まれるのはさぞ屈辱的でしょう。
七瀬選手の“底”を引き出すこともできずに、無様にリングでボコられる河愛選手にはＳＳＳＧＰがトラウマになってしまうかもしれません。
もう一度言っておきますが、相性の問題です。河愛選手は決して弱くはありません。
七瀬選手が規格外すぎるのです。
今回から特別試合を設けて、一試合多く収録しています。
ＳＳＳＧＰ本戦に参加できなかった有望選手や、同じトーナメント内にいても激突しなかったカードの実現を主としていますので、
「スイング」した場合、本戦の試合を食う可能性も十分にありますし、彼女達もそれを目指してリングに上がっています。
実績は勿論大事ですが、それよりも“記憶に残る試合”を実現できた方がレスラーとしては優秀だと思いますので、
この特別試合を楽しんで頂ければ幸いです。
というワケで第二試合は国見奈々選手ｖｓ深田梨菜選手です。
Ａブロックで、伝説級の試合をしながらレジェンドの“格”を完全に失墜させられてしまった国見選手。
時代を支えてきたＳＳＳのエースとして、ＷＵＷエース・深田梨菜選手を向かえうちます。
そして深田梨菜選手。人気・実力・ルックスと確実にＳＳＳＧＰ出場と思われていた彼女が違う形でＳＳＳＧＰに登場です。
ＳＳＳのアイドルレスラー、桜庭彩選手に戦意喪失になるまで追い込まれ、ＷＵＷの看板を無様にも破られた深田選手。
念願のＳＳＳＧＰ出場を奪い取られ、そして仇討ちに出た盟友・佐々木選手も無残に散っていった事実。
さぞ悔しかったことでしょう、恨めしかったことでしょう。
ずば抜けた実力を持ちながら、敗北の道から抜け出せない彼女にとって、この試合は大きな意味があります。
ＳＳＳエースとの真っ向勝負。全力を出し切れるレジェンドを相手に、
今度こそ自分の価値、そしてＷＵＷの誇りを取り戻す為にリングに上がります。
試合内容は非常に激しく、技術的にも感情的にも素晴らしいと言わざるをえません。
正直に申し上げますと「スウィング」という観点から見れば本線であるＳＳＳＧＰ準決勝Ａを凌駕していると思います。
さすがは団体の看板を背負う両エース対決というべきでしょうか、新人選手のそれとは次元が違うと誰もが思うことでしょう。
展開的には、ＳＳＳ・ＷＵＷのスタイルにお互いが擦り寄っている形です。
基本はＳＳＳ流プロレスですが、ＷＵＷの持つ格闘技側に引っ張られて混ざっているような形です。
互いに看板を背負う同士、非常に鬼気迫るものがあります。この試合は準決勝Ａのような“階級”が違う闘いだと思いますが、
国見選手はそのハンデを乗り越え、今後ライト級の選手が、ヘビー級に立ち向かう際の大きな指針を見せたのではないかと思います。
初めてジャーマンスープレックスを登場させた件もそうですが、国見選手はいつの時代も引っ張る側にいるんだなと実感し、
全てを引退してＳＳＳリングのみに絞っている今に感謝しています。名勝負製造レスラーです。
決着に関しては、事件が起こりました。
正直にお話します。
これはヤラセでも八百長でもありません。実際に起こったことです。
闘いの裏側をファンにおしつけるのか？とおっしゃるファンの方もいらっしゃると思います。
勿論おっしゃることは重々理解できますし、その通りだとも感じています。
ただ、この試合を皆様に届けることなく、お蔵入りさせるということをどうしても避けたかったのです。
この闘いがダメな闘いでしょうか？感情や痛み、攻防が至らないものでしょうか？
ＳＳＳの芸風にそぐわない決着かもしれませんが、このくらいのリスクを伴っている上での激闘を
彼女達がしている事実・現実をファンの皆様には知って欲しかった部分があります。
ＳＳＳＧＰでの闘いは「本当の苦しみ・感情のぶつかり合い」の中で生まれる人間ドラマだということ。
その上で勝者と敗者が分かれることの重み。
それが伝えられたという部分では、価値があったのではないかと思っています。
2011 7/1 C.Ronald
